MOITT 2013-2014年度講座プログラム
モスクワ在住の中堅TRIZマスター、アレクサンドル・クドゥリャフツェフ (Александр Кудрявцев) がモスクワの住民を対象として企画した無料のTRIZ教育プログラムの概要を紹介します。すでに本サイトにそのプログラムを掲載中のセミナー「TRIZ:革新的企業創生のツール」の上級続編とも言えるセミナーです。国際TRIZ協会の認定レベルで言えば「TRIZ:革新的企業創生のツール」が認定レベル1を想定しているのに対して、ここで紹介する「MOITT 2013-2014年度講座」は認定レベル2・3を想定した内容です。現代のTRIZが何を視野に入れているのか、プログラムの内容から良く読み取れるとおもいます。
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MOITT 2013-2014年度講座プログラム
作成者:アレクサンドル・クドゥリャフツェフ
日時:2013/08/14 水、09:41
(2013-2014年度受講者募集要項)
MOITT(モスクワ私立創造技術単科大学)
「現代の問題発見・解決ツール」講座
2013-2014年度プログラム
講座担当:アレクサンドル・クドゥリャフツェフ
概要:
このプログラムは新製品の開発、生産技術、生産管理の改良を担当する技術者、および企業内技術革新活動の推進担当者の為の研修セミナーの内容および実施要領を定めたものです。
本講座の目的は各種の方法的ツールを用いて創造性を要する難問を解決する専門家を養成すること、受講者に新しい技術的方策の探索作業を計画的に遂行する上での基本的な考え方と各種ツールを紹介し、新しいアイデアや工夫を得るプロセスを計画的に遂行するために用いる基本的なツールを使いこなせるようにすることです。本講座で学ぶ諸ツールは企業で技術革新推進を進めるリーダーたちによって実際に活用されているツールです。
この講座を卒業した受講者はMATRIZのレベル2あるいは3の認定を得る能力がつきます。
受講対象者:
本講座は技術部門、業務部門、管理部門の専門家、より具体的には:設計、生産技術、製品企画、部品装置の開発、R&Dセンター、生産の自動化・機械化、企業や地域における技術革新推進、営業、管理、教育、人事、新事業のスタートアップなどの仕事をしている人々を広く対象としています。受講の前提となる必須条件は次の通りです:
- 学習対象について知識と技能を得ることに関心を持っていること
- 自分の職業に関係する問題を解決したいと考え、問題解決の作業を方法に沿って計画的に行おうとする心構えを持っていること
- 学習によって学んだ知識を他の人々に伝承しようという意思と希望を持っていること
教育の目標:
受講者に問題状況の分析および設定された課題の解決策の探索プロセスを各種ツールを用いて実行する次の能力と技能を身につけさせること:
- 創造的なアイデアを得る作業を活性化する目的で、直感刺激型、体系的探索型、目標接近型の各種手法を使うこと;
- 改良対象システム内の機能連関の分析を行い、一連の分析ツールを用いてシステムを改良する上での課題を明らかにすること;
- 課題を正確に定式化し、システムを改良するアイデアを得る目的で矛盾を明らかにし解決すること;
- 主な構造モデル、機能移植法、システム進化の基本的法則性などを用いた予測も含めて設定された課題を解決すること;
- 改良対象システムの外部における機能連関の分析、同システムに関連する顧客価値の全体像の特定と競合システムとの比較を行うこと;
- 問題状況を解消する作業の体制を作り、各種手法のどれをどの順で使ってゆくのかを企画し、手法を使った実際の作業が効果的に進むように調整すること。
講座を卒業するまでに受講者は:
- 新しいアイデアを得るために活用すべき方法の全体像と、各種手法の中の主なツールグループを学ぶ;
- 新しいアイデアの発想に使うことのできる直感刺激型および体系的探索型の各種手法の使い方のトレーニングを受ける;
- 矛盾の定式化と解決、機能的なアナロジー{類似物・類似品}の特定とそれに基づく問題解決策の探索技術を実践的に習得する;
- 機能モデル、フローモデルを作り、それを用いて対象システムを改良する上での課題を明らかにすることができるようになる;
- システムの進化における法則性に基づいて各種システムの今後の進化を予測することができるようになる;
- 技術革新プロジェクトの様々なプロセスの遂行に参画する実践的技能を習得する。
卒業の要件となる知識・能力の確認方法:
学習の過程で、受講者は自分の職業に関連し解決に創造性を要する難問を幾つか選択する。講座主任は受講者が選択した問題を審査し妥当であれば承認する。こうして設定された問題について、当初の問題状況を分析しその解決策を導き出す作業において、必要となる各種ツールを選択し、それを適切に使ってゆく作業そのものが卒業プロジェクトとなる。最終的に受講者は自分が行った卒業プロジェクトの内容を説明し、評価者の質問に答える審査会に合格しなくてはならない。
受講は無料
講座プログラムの詳細内容:
各モジュールの学習時間 − 3–8学習時間
セミナー/エクササイズの総時間 − 120学習時間
セミナーの実施要領:
本セミナーの学習では次の教育形態が用いられる
- メディアを用いるインターラクティブな小講義(電子プレゼンテーション)
- 事例、現実のプロジェクトから一部を紹介して討議する
- グループディスカッション − 受講者同士の間で経験交換
- 方法への習熟を目的とする、小グループおよび個人別の問題解決エクササイズ
- セミナー受講者が抱える現実の問題から一部分を取り出した問題を小グループで解決する
- 解いた問題の振り返り。問題解決の過程でおかした失敗の分析
- 知的準備運動。口頭での試問。質問に即答する練習
- 個人別宿題
セミナーに必要な機材:
- トレーナー用パソコン。MSオフィス、パワーポイント
- 液晶プロジェクター
- プロジェクター用スクリーン
- プレゼンテーションの遠隔操作用コントローラ
- フリップチャート{模造紙より少し小さいサイズの白紙綴りを掛け、1枚ずつめくって使うスタンド。ホワイトボードのようにして使う}2台と白紙綴り。
- 紙用セロファンテープ
- フリップチャートに用いるマーカー(6色セット)
教科書:
受講者には次の教科書・教材が配布される:
- セミナーで紹介される主な手法を紹介した教科書
- 授業毎の内容に関連する資料、電子データ
- セミナー受講者の意見を聴取する目的で教師がアンケートをとる
電子データ版教科書、ならびに教材、受講者は事前に読んでおくことが推奨される:
- Альтшуллер Г. Найти идею. Введение в ТРИЗ. — Альпина бизнес букс, 2008.
(G.S.アルトシューラ『アイデア発見:TRIZ入門』、アルピナ・ビジネス・ブックス、2008年)
- Гин А., Кудрявцев А. и др. Теория решения изобретательских задач. — Народное образование, 2012.
(A.A.ギン、A.V.クドゥリャフツェフ他『発明問題解決理論』、2013年。日本語訳:『TRIZ 発明問題解決理論 レベル1 教科書』TRIZ研究所、2013年)
- Бирман Л., Кочурова Т. Стратегия управления инновационными процессами. — Дело, 2010.
(L.ビルマン、T.コチューロヴァ『イノベーション・プロセス管理戦略』、ビジネス出版、2010年)
- Детмер У. Теория ограничений Голдрата. — Альпина бизнес букс, 2007.
(U.デェートメル、『ゴールドラットの制約理論』、2007年、アルピナ・ビジネス・ブックス)
- Чернозуб О. Жизнь после кризиса. Стоимостной подход к управлению частной компанией. — Москва: Альпина Паблишерз, 2009.
(O.チェルノズーブ『危機後の生活。民間企業経営のためのコストアプローチ』、モスクワ、アルピナ・パブリッシャーズ、2009年)
- Прушинский В. Сценарии эволюции. — Москва: Форум, 2012.
(V.プルシンスキー『進化のシナリオ』、モスクワ、フォーラム出版、2012年)
- Шпаковский Н. Анализ технической информации и генерация новых идей. — Москва: Форум, 2010.
(N.シパコーフスキ『技術情報の分析とアイデア発想』、モスクワ、フォーラム出版、2010年)
- Литвин С., Любомирский А. «Закономерности развития технических систем» Электронный учебник.
http://metodolog.ru/00767/00767.html
(S.リトヴィン、A.リュボミールスキ「技術システム進化の法則性」〈電子教科書〉)
- Roger Martin, The Opposable Mind: How Successful Leaders Win Through Integrative Thinking, HBR Press, 2007.
(日本語訳:ロジャー・マーチン著 村井章子訳『インテグレーティブ・シンキング 優れた意思決定の秘密』、日本経済新聞出版社、2009年){リンクはアマゾンの販売ページです}