このページでは、TRIZとは何かをご理解いただくために、B.ズローチンとA.ズスマンのコンビが1991年に書いた文章、「ARIZの改良」を翻訳し、紹介します。
この文章の内容は、ARIZ-85Cの欠陥を克服して次世代のARIZを作り上げようという狙いの提案です。「TRIZの古典」のセクションに掲載されているアルトシューラの文章の次に読むとよいとおもいます。TRIZを研究する上での必須の文章です。古典的TRIZを使おうと思っている人たちには是非とも詳細に読んで頂きたいと願っています。
この文章はアイディエーション・ジャパン株式会社のご好意に基づいて掲載されたものです。原文の著作権は著者に、日本語の翻訳の著作権はサイトの管理者にあります。無断転載は禁止いたします。
(なお、文中の{ }は翻訳者による補足です)
ARIZ-85Cの確定版は今を去る1985年にいくつかの試験的バージョンをへて完成されました。このARIZに従ってベテラン教師のセミナーでTRIZを学ぶ人たちは準備された研修用の問題(いいかえれば、状況が精確に記述された問題)を手際よく解決する能力を身につけることができるようになりました。しかしそれでも、ARIZを学ぶ上での難しさは多々あり、追加の説明、注意、例示などが必要でした。さらに、幾つかのステップは数多くの練習問題に取り組むことによって身につける必要がありました。しかし、このARIZには〈状況を明らかにしその焦点を整理する〉ステップが無いため、最も大きな困難はこうしてARIZを学んだ後に現実の(情報が整理されていない)問題に取り組んだ時に生じました。このステップは以前のバーションのARIZ(ARIZ-71、77)には含まれていましたが、ARIZの他の部分がより高い厳密さを目指して次々と改良されていったことと比較して改良が遅れていたことから、後のバージョンでは割愛されることになったのです。
各地でTRIZを教えていた教師はこうした困難を克服する方法を模索していました。何人かの教師はARIZをさらに改良する上での数多くの推奨事項を長いリストに書き溜め、中にはARIZの新バージョンを開発する試みも行われていました。1989年以前にも、例えばK.コロリョフ(ベーラヤツェルコーフ)、Y.アンドレーエフスキー(ペトロザヴォーツク)、ノヴォシビリスクのグループ、その他の個人・グループが自らの案を提示し試用していました。こうした動きはTRIZを学ぶ人たちが質の低い資料に基づいて学ぶことになったり、各地のTRIZ学級が共通した教育基盤を持てなくなるといった危険な状況だと考えられました。
こうした状況の中でARIZを一層改良するアプローチが2つ考えられました。1つのアプローチはそれまでの数十年間にわたり成果を挙げてきた全てのバージョンのARIZの唯一の著者であるG.アルトシューラの案です。ARIZの改良に関するあらゆる提案、アイデアを全てアルトシューラのところにまとめ、彼が必要と認めた場合には次のバージョンのARIZに織り込んで各地のTRIZ学級に推奨するというものです。しかし、この時点ではアルトシューラは新しいバージョンを求めるTRIZ教師達の要請を拒否しました。彼はARIZ-85Cは十分に良く出来ているという確信をもっていたのです。彼はまた、その時点で、自分としてはARIZの改良よりも創造的人格育成理論(TRTL)を優先し、自分の力をそちらに傾注したいというのです。
もう1つのアプローチはTRIZ開発グループを作り、全ての提案をそこに集め、そのグループが新しいARIZの案を作ったうえで、アルトシューラや他の専門家に配布し、議論と承認を求めるというものでした。このアプローチには難点がありました。そもそもARIZはアルトシューラの知的資産であり、それに手をつけることは不可能(むしろ、非倫理的)だという事情です。しかしこの難点は後に解消されました。1989年にTRIZ協会が設立され10月に開催されたその第一回の理事会の会議でアルトシューラはARIZの改良を行うことを正式に了解したのです。
1989年にペトロザヴォーツクで開催されたTRIZ大会の間にARIZの改良をテーマとした円卓会議が開かれました。ここにはS.リトヴィンを議長として以下の専門家が参加しました。K.スクロヴォツキー(オブニンスク)、M.シャラーポフ(マグニトゴルスク)、M.ブドレンコ(クラスノゴルスク)、S.スイチョーフ(ロストフ・ナ・ダヌー)、V.カーネル、A.ピニャーエフ、E.ズローチン、V.クリャチコ、V.ペトロフ、V.ドゥブローフ、A.リュボミールスキー(以上サンクト・ペテルブルグ)、G.フレンクラフ(ゴーメル)、V.ラードシキン、A.トルガーシェフ(ノヴォシビルスク)、E.マルチーノヴァ、S.ペルニーツキー(ジュコーフスキー)、P.ピゴーロフ、Y.ストゥープニケル(ドネプルペトロフスク)、N.ホメンコ(ミンスク)、I.ゴイフマン(ミチスチ)、A.ズスマン、V.ズローチン、Z.ロイツェン(キシニョーフ)、V.コロリョーフ(ベーラヤツェルコーフ)、Y.アンドレーエフスキー(ペトロザヴォーツク)、E.カーガン(ヴォルゴグラード)その他です。リトヴィンが改良に関するもっとも包括的な提案リストを提出し、E.ズローチン、V.ペトロフ、キシニョフの教師達その他からも多数の提案が提出されました。
大会の後直ちにリトヴィン、ズスマン、V.ズローチン、E.ズローチン、およびペトローフはサンクト・ペテルブルグで会合をもち、円卓会議の結果について議論し結論として、次の目標の旨としてARIZの新しいバージョンに関する共同作業を行うこととしました。
以上の目標はARIZの厳密さを高め、追加のステップとルール(ミクロ・アルゴリズム)を導入することによって達成できるはずであるというのが共通の認識でした。
ARIZ-85Cが教えられてきた5年間に、キシニョフ他のTRIZ学級の教師達はARIZ-85Cを使ううえでの経験は十分に蓄積していました。生徒にとって難しいところ、ありがちな失敗については記録が残されてきました。一例は次の通りです:
改善が求められる状況の中からいわゆる最小問題を取り出す作業は、状況に関与するシステムの階層が2層までで、課題の条件が精確に記述されているトレーニング用のケーススタディーでは通常障害に直面することはありません。しかし、システムの階層が2層より多い(それが現実で出会う状況です)場合にはその作業ははるかに難しくなります。(ARIZ-85Cの)ステップ1.1の但書1.には次のように記載されていますがあまりにも漠然としています:「全ては当初のまま変化しないあるいは単純化される、しかしその一方で、求められる作用(状態)が得られる、あるいは、有害な作用(状態)が無くなっている」。現実の状況では複数の有害な作用が相互に複雑に関連しているのが普通ですから、この但書に言う有害な作用とはどの有害な作用を指すのか、あるいは、どの求められる作用(状態)に焦点をあてればよいのか明らかではありません。(この点についての詳細は補足1を参照してください)
さらに、TRIZの教育を受けていない人が実際のケースで問題状況を記述した文章は〈なんとなく〉記述したものですから、殆ど常に間違っています。これが問題解決作業を極めて難しくする要因となります。このように記述された問題状況から正しく特定された最小問題を一気に取り出すのは経験を積んだTRIZ専門家にとってさえ難しい課題です。
殆ど全ての新人が問題の説明によっては技術的矛盾がはっきりと示唆されてていない状況に出会います。(ARIZ-85C)には矛盾を人為的に定式化する作業を助ける専用のガイダンス(ステップ1.1の但書3)がありますが、この点に関しては教師による追加の説明が欠かせません。さらに、こうして矛盾を人為的に定式化することでARIZに基づく問題分析作業を始めることはできますが、この矛盾は実際の状況を反映したものではないため、技術的矛盾を取り除くために用いられる通常のアプローチは適用できません。
もう1つの難しさは技術的矛盾をつぎのような命題の形に記述する上で、厳格な形式が定まっていないことです。
もし〈条件〉ならば、〈なんらかの肯定的な状況〉である、しかし同時に〈なんらかの否定的な状況〉である。
(TRIZ学級でない)普通の学校の論理学の授業ではこのような命題を扱いませんから、初心者は技術的矛盾をしばしばつぎのような形で定式化してしまいます。
「私の妻はNOT美人{〈美人〉そのものは肯定的な状況}である、しかし彼女は貧乏{〈貧乏〉は否定的な状況}である」
また、技術的矛盾は特性に関する表現となる(例えば、「生産量を多くすると、品質が低下する」)ことも、あるいは作用や機能として表現される(例えば「その溶液は、熱せられると、劣化する」)こともあるためさらに混乱が拡大します。実際のところ、技術的矛盾をどちらの形態でとらえたとしても、それぞれに固有の利点があります(特性の形で定式化すれば矛盾表を使いやすくなります。また、機能の形で定式化するとシステムの中で生じている作用やプロセスを明らかにする上で有用です)。しかし技術的矛盾についての定義に精確さが欠けていることによってARIZの厳密性が損なわれることになっています。
この点での主な問題は問題状況に2つ以上の要素が含まれている時に{ARIZが求める要素としての}ツールとワークとをどう選択するかということです。また、同じ2つの要素が肯定的な作用と否定的な作用の両方に関係して逆の役割を果たしている状況(工作機械の工具が素材を加工する(肯定的な作用)状況は、素材の方が工具を摩耗させている(否定的な作用)とも言える)でも、事態がより容易だと言うわけでもありません。ステップ1.3でよくある間違いは、ツールがもつ2つの状態という点を忘れて、問題に関与している部品でなく部品の性質あるいは特性を対立状況の要素と捉えてしまうことです。これが起きる理由も上に書いたことと同じで、改善が求められている状況のなかから最小問題を取り出す手順が{厳密な形で}存在しないことです。複数の問題が存在してそれぞれに対応する要素が存在することから、多数の要素についての分析が同時に行われることになります。TRIZではこのような状況をプータンカ{もつれ}というタームで呼び、この場合には個々の問題を分けて取り扱いなさいというガイダンスがありますが、具体的にどのようにすべきかという説明はありません。ARIZ-85Cは複数のリンクが含まれる矛盾を明らかにし単純な図式モデルの組合せと捉えなさいとしています。以上をとりまとめると、手順があまりにも漠然としているのです。
ステップ1.4は技術的矛盾の中から、システムの本来の用途である基本的な機能をよりよく実現する方の作用をMMPとして選択することを求めます。しかし、但書13では測定や制御に関連する問題に例外を指摘しています。測定・制御に関連する問題では測定に直接関わっている下位システムではなくシステム全体の機能をMMPとして選択することを推奨しています。また、同様な事態は保護を目的とする下位システムに付いてもいえます。例えば、避雷針とアンテナに関する問題では避雷針がアンテナを護る機能ではなく、アンテナが電波を捉える機能をMMPとして選ぶことになります。以上をまとめれば、いずれの場合にも通用するより汎用的なガイダンスとして副次的機能をMMPと取り違えないように指摘していると言えます。一般的に言って、システムが機能を発生することに関連する何らかの否定的な影響を修正する、例えば搬送用の容器に固まりついたノロ(鉱滓)を掻き落とすといった、修正的な機能が副次的機能となっています。しかし、ある機能が主要な機能なのか副次的な機能なのかを判定するのは相対的なことで、ひとえに、どの範囲のシステム階層が考察の対象とされているのか、あるいは、改善すべき状況の中からどの問題を解決することにするのかに依存することです。取り上げるべき階層レベルがはっきりしていない場合には間違ってしまう可能性があります。
疑問があると思います。何故、MMPを選択する必要があるのでしょうか。2つの技術的矛盾(TC-1とTC-2と呼ぶことにしましょう)を定式化することは、当然、私達に2つの別の問題設定を提起していることになります。ARIZは{MMPの選択という形で}この中からもっとも成功が期待される問題設定を選択するようにガイドしているのです。しかし、私達はどうして一方の方がより成功の可能性が高いといえるのでしょうか。A.リュボミールスキーがある時つぎの指摘をしています。概して、一方のTCは既存のシステムを前提としたものでそれを選択することは既存のシステムの改良を行う方向に進むという選択をしたことになり、他方で、それと逆のTCを選択することは、通常、望ましい結果を得るための代替的な手段を捜すこと(つまり、新しいシステムの開発)に注力することを意味するというのです。この2つのどちらの方向を選択することがよりよい解決策につながるか、事前に判断することは困難ですから、そもそも選択を行わないことが理にかなっています。現時点{1990年}にたって考えると、ARIZ-85Cで資源の分析はどちらに関しても並行して行うという実例が作られている(ステップ3.2)のですから、なおのことです。以上を考慮すると、私達としては、どちらのTCを選択したかということの意味が無くなってしまうステップ3.3(物理的矛盾の定式化)までは2つの技術的矛盾について並行して作業を行うことを推奨します。
私達は、MMPについて考察すること、2つの技術的矛盾から一方を選択すること、複数のリンクからなる矛盾を単純な矛盾の組み合わせとして捉えさせること、その他の新しいステップが必要となった理由はARIZの中に問題状況を整理する部分が欠けていることにあると考えています。
ARIZを活用する上での間違いの多くは個々のステップを正確に実行する上でのミクロ・アルゴリズム{細かい手順}が欠けていることに起因しています。しかし、ミクロ・アルゴリズムは、既に非常に複雑でルールや但書や、例などによって山盛りになっているARIZをさらにふくらませることになってしまいます。ARIZを理解しやすいもの、全体の流れが容易に把握できるものとしたままで、さらに進化させるためには、その構造を変革する必要があります。
問題状況の定式化に関連する点の他に、既存のARIZが抱える問題として理想的な状況に近似する唯一の解決策をえることに焦点を当てていることがあります。一方、現実の世界では、複数の選択肢をもつことが実際的です。現実の世界では、理想性の観点では劣るとしても、何らか(技術上、組織上、制度上、属人的などの観点から)の理由で実現しやすい解決策を選択することがあります。言い方を変えれば、その解決策の方が特定の範囲の限定的な理想性がより高いといえるのです。(資料2を参照ください)
〈一群の〉解決策案を得ることに焦点を置いた場合には、分析的なステップと解決策の案を発想するステップとを一体として考える方向でARIZの構成を変化させることが求められます。従来は常に分析の筋道を途中でさえぎってはならないと考えられてきました。模範的方法や標準などの発想的なツールを適用する作業は、必ずある段階の分析段階が終了した後に行うこととなっていたのはこのためです。同時に、ARIZのそれぞれの段階によって私達の問題理解が変化して新たに構成されなおすことが知られています。さらに、私達が問題を解決するおもな筋道は、何らかの形の類比をおこなうことだという点を考慮すると、どのステップでも問題が変化して情報データベースの中に既にある問題と似通ったものになる可能性があると考えられますから、解決策はあらゆるステップで発見される可能性があるはずです。さらに言えば、私達の経験に基づいて言えるのですが、あらゆるステップで解決策を発見しようと試みることによって、期待しなかった効果が得られるのです。つまり、これを行うことによって問題の理解が進むことにつながるのです。複数の解決策案を得なくてはならない点も合わせて、妥当と考えられる全てのステップの後で、発想ツールを使うことに意味があると言えるのです。これについても、ARIZ-85Cに先例があります。標準は3つの段階で適用されます。必要なのはこのやり方を拡大することです。ARIZ-85Cでは技術的矛盾を定式化し、従って模範的方法を適用することが可能になっているのにも関わらず、矛盾を解決するために模範的方法を適用することはしていません。ある時期、標準の方がはるかに効果的だと考えたことから、模範的方法はARIZから除外されました。しかし、実践的経験の示すところではこれら2つのツールは相互に補完的なところがあります。
V.クリャチコ(サンクト・ペテルブルグ)は1985年に、2つの技術的矛盾を特定した時点(ステップ1.1)で私達は自動的に当初の物理的矛盾を定式化することに必要な全ての要素を手に入れていると指摘しています。つまり、ツールに関連する矛盾、あるいはその他の状況(沢山の避雷針あるいは数少ない避雷針、高速のガス流あるいは低速のガス流、など)に関して物理的矛盾を定式化することが可能です。ということは、この段階で直ちに分離の原則を適用することができるのです。この段階で発見される解決策の案はステップ5.3で得られるものと同じではないかもしれません。なぜならば、ステップ3.3で物理的矛盾を定式化する時には通常は選択された資源に関して定式化を行いますが、これは現実のツールの状態とは別のものだからです。ですから、始めの段階で物理的矛盾を定式化することによって解決策案の数を増やせる可能性があります。
次は、ARIZをコンピュータで使うための基盤と考えた場合に考えるべき特別な要請です。まず、前のステップから次のステップが論理的に一義的に引き出されるように各ステップは正確でなくてはなりませんから、ミクロ・アルゴリズムが不可欠です。次のステップにおいてユーザーが具体的な情報を追加しなくてはならない場合には、その情報は様々なメニューの形、つまり、典型的な(物理的その他の)欠陥、マクロレベル/ミクロレベルの状態から選択する形で提供されなくてはなりません。定式化の一般的形式(テンプレート)はユーザーが問題に関連する具体的な情報を予め企画された図式に従ってインプットできるように準備されていなくてはなりません。さらに、ユーザーがTRIZについて幅広い知識を持っていなくても、自然な工学的な用語を使うだけでARIZを使って仕事ができるようにしなくてはなりません。又、様々な形式で表現されている当初の問題記述をユーザーが定式化された問題記述に変化させることができる(つまり、1つのリンクをクリックするだけで、関連する全てのことが引き出されるような形で、定式化された問題記述を引き出せる)ようでなくてはなりません。
以上をまとめると、ARIZは次のように改良する必要があります。
以上に述べた原則やアイデアが土台となってARIZ-KE-89/90と名付けられた最初の実験的なバージョンが開発され、このARIZはプログレス社が行ったセミナー(それぞれ200時間からなる5つのコース)によって検証されました。二番目の試験的バージョンは始めのバージョンの試行結果とリトヴィンより提供された追加の資料を織り込んで作られました。またここでは、V.ドゥブローフとA.ピニャーエフの提案も(部分的に)考慮に入れられました。キシニョフTRIZ学級は1991年1月にこの新しいバージョンをNILIM理論部(サンクト・ペテルブルグ、部長S.リトヴィン)によって企画された会合で発表しました。会合にはV.コロリョフ、A.トルガーシェフ、A.クリャーノフ、A.リュボミールスキー、A.ピニャーエフ、V.ゲラシモフ、V.ドゥブローフ、およびA.ズスマンも出席しました。この会合では他に次の資料も提出され議論の対象とされました。
ARIZ-KE-89/90の構造はARIZ-85Cと似たものでした。改善を求められる状況を分析するセクションが追加されましたが全体としてのセクションの数はARIZ-85Cと同数とすることができました。しかし、これを試行した結果に基づく各種提案やS.リトヴィンによる指摘を採用することによって従来の構造はバラバラになってしまいました。ステップを分割すると、ステップ階層の数が多くなりすぎARIZが判りにくくなってしまうために、新たなセクションを作る必要があると言ったケースがしばしばでした。しかし、もっとも重要なのは、このように詳細な階層を多くすることによってARIZは手作業よりもコンピュータを使った作業に向いたものとなるということが明らかになったことでした。いいかえると、ARIZ-91となることが想定されたARIZのヴァージョンは〈機械化〉ヴァージョンのプラットフォームへと変わってしまったのです。新しいセクションを導入した後もARIZ-85Cの主な発想と手順は残っていたということを考えれば、作られたものはARIZ-85Cの機械化ヴァージョンのプラットフォームになったのです。このため、このヴァージョンはARIZ-SMV91(E)と名付けられました。ARIZ-85Cを土台として、Sはシナリオ、Mは機械化、Vはヴァージョン、(E)は実験的なものであるということを意味しています。
ソフトウエアとしてのストーリーに変化させるには相当時間がかかることは明らかです。さらに、それが完成したとしても、{この文章が書かれた当時は}全ての人がコンピュータをもっているわけではありません。しかし、現時点でARIZを大幅に改良する可能性が存在するのにそれを無視するのは怠慢です。私達がソフトウエアのストーリをマニュアル作業に適合した形にすることを考えたのはこのためです。これを行うにはアルゴリズムの複雑なところを大きく簡素化しなくてはなりません。ARIZの主文から、繰り返して使われる定義、ルール、但し書き、マイクロ・アルゴリズムの部分を削除しました。こうして作られたのがARIZ-SMVA91(E)ですが、ここに付け加えられた〈A〉は{マニュアル作業用の}アダプテーションという趣旨です。このバージョンは次の各部分からなっています。
この中の主文(2部)は次の18章からなっています:
3部には以下の各種資料が含まれます:
ARIZ-SMVAの始めの数章では改良を求められる状況の分析を行います。ここで問題記述を定式化します。第1章では当初把握された形態で問題に接します。たまたまそのような形で記述され、方法的な認識なしに取り上げられた問題を、よくある典型的な問題記述の形式にあわせで整理します。こうすることによって矛盾表と標準というTRIZの2つの主要なツールを適用できるようにします。ユーザーは典型的な問題のリストの中から{状況に合致する}妥当なものを選択する形でこれを行います。次に、状況に応じて(つまり、問題を解決する既知の方法が見つからない、あるいは、何らかの理由でそれを用いることができない場合は)、ARIZを使って典型的な問題記述(模範的方法{のなかのどれか}、標準{のなか}のどのグループになるか、VE{のタイプか}、{現象の発生メカニズムの}科学的解明か、不具合の予測か)のうちのどの形態に合致する状況かを明らかにすることになります。この他に、ユーザーは典型的な制約事項のリストを利用して、{問題解決の前提となる}制約事項を{あらかじめ}記録します。同じく、期待される経済的、技術的そのほかの効果(このステップの一部はARIZ-1977に含まれていました)も記録しておきます。場合によってはこの段階で有望なアイデアが得られることがありますが、さらに検討を継続することが推奨されます。
第2章では問題が発生するシステム、具体的には、システムの主要な要素、構造、機能する状況、についての理解を深めることになります。この章の目的は次の第3章(状況の再構築)の裏付けとなる準備を行うことです。しかし、当初の問題理解にここで新しい情報を得た上で、もう一度解決策案の発見を試みることも可能です。S.リトヴィンのリコメンデーションに従って、対象としているシステムに対する代替システムにつじて検討するステップがここに含まれています。この段階でどのような結果が得られたにしても、分析は継続します。
第3章の主な目的は有益な作用、有害な作用とその影響との間の原因結果連鎖を明らかにし、それに基づいてこの連鎖関係をまとめたツリー形式の図式を描くことです。この原因と影響との関係は(A.ピニャーエフのリコメンデーションのように)表の形で表現することもできます。しかし、比較的単純な問題状況でも原因結果関係には枝分かれがありますから、私達は、ツリー形式の図式の方が表よりも状況を見てとることが容易だと思います。こうして図式にする目的は状況の焦点となるノード{節}、即ちある1つの要因あるいは作用が有益な結果をもたらしている一方で同時に有害な作用の理由となっている箇所{複数}、を明らかにすることです。結果を取り除くよりも原因を取り除く、つまり問題を解決する、ことの方がより良いのは全く明らかです。しかし、状況によってはこうした焦点が多数あるかもしれません。
有益な作用の連鎖を描き出す作業はFASTダイアグラムを作る作業(M.G.カルプーニン、V.I.マイダンチク『VEの手引き』、モスクワ、金融と統計出版、1988)と同様です。具体的には、既知の機能の1つひとつについて次のように考えます:
始めの問いに答えることによって連鎖関係は右側{結果側}に広がり、2つ目の問いは同じく左側{原因側}に広げることを助けてくれます。有害な作用については別の問いを使って考えます:
以上の問いを使って考えることによって、2つの別々の連鎖関係の図式が得られます。焦点となるノードを明らかにするには、2つの図式を合体させる必要があります。このために、2つが重なるところを捜します。重なるところとは次の箇所です:
従って、有益な連鎖の図式、有害な連鎖の図式における個々のリンクについてさらに2つずつの問いを投げかけます:
同じように、有害な連鎖のリンクについては:
以上の問いは有益な連鎖と有害な連鎖とを合体させるとともに、当初は見えていなかった新しい連鎖を発見し追加することにも役立ちます。
こうしてツリー形式の図式が描かれると、図の中の全てのリンクについて次のような一般的な問題記述があり得ることになります。
こうして、意味のある問題記述文をすべて出し尽くした後、その記述に従った場合いシステムがどれほど大きく変化するかという度合いに応じて、問題記述を順序付けします。作業がここまで進むと、判断基準に関するガイダンスやユーザーのおかれた具体的な条件に基づいて、ユーザーが自分でどの問題記述について優先的に取り組むべきかという判断ができるようになります。
何らかの理由で最優先となった問題記述が焦点となっている問題の修正と異なることになった場合には、第1章に戻って{これまでの検討を踏まえて}適当と思われる典型的な問題記述の形式を選んで、その問題記述に対応して推奨されるツールを適用します。逆に、最優先となったのが焦点と一致した場合には次の章に進みます。
第4章は最小問題の定式化にあてられています。焦点となるノードに関連してここまでで厳密性の高い形で行った問題記述の変形に基づいて最小問題に必要な要素が選ばれていますから、本論の始めに触れた問題点は克服されています。ここでの問題記述の変形は有益ならびに有害な機能(作用)、技術的矛盾、および最小問題全体に関して事前に定式化された正確な枠組み(テンプレート)を使って行います。例えば、ある機能についての典型的な枠組みは次の通りです:
〈あるツール[ツールの名前を記入]はあるワーク[ワークを記入]に影響[影響の仕方を記入]を与える。〉
これによってユーザーは最初からツールやワークが何なのか最初から特定することを強いられます。さらに、この作業は有益と有害の両方の機能{作用}に関して別々に行なうことになります。これらの要素はどちらについても(部分的にあるいは完全に)一致するはずです。そうでなければ対立状況は無いことになります。前もって焦点となるノードを選択しておくことによって対立に関与している要素を選択することの意味が明白になります。特殊な用語法を不要にする目的を持った専用のオペレータ(リトヴィンの提案)と対立状況を示す図式ダイアグラムを描くためのマイクロ・アルゴリズムが採用されています。
さらに分析を継続するにあたって対立状況の中から一方の問題記述を選択するということは行わないため、矛盾の極端化(第6章)、問題類型モデルの定式化(第7章)、物質場モデルの変形と標準の摘要(第8章)は両方の問題記述文について行うことになります。また〈X-要素〉に替わりに〈X-資源〉というタームを用いることによって、IFRに焦点を当てることを強制します。
特異点の1つは操作空間と操作時間を特定する作業を有益機能と有害作用とについて別々に行う点です。その結果、空間あるいは時間の観点から対立状況を分離する可能性を直ちに発見することができます。操作空間について検討を行う間に発見された資源は専用の表にリストアップします。物質・場資源以外にプロセス、物質の流れ、エネルギー、情報を明らかにし、それを有益な資源か有害な資源か判断して区分します。
ARIZ-SMV91(E)では複数の物理的矛盾を定式化します。まず、上にあげた形で当初の問題理解に基づく物理的矛盾を定式化します(第5章、技術的矛盾を定式化したすぐ後)。次に、プロセス、マクロ状態、ミクロ状態、および流れの物理的矛盾を定式化します(第11章)。ここでの作業を助けるために典型的なマクロ状態、ミクロ状態、流れ、プロセスについてのリストが添付されています。物理的矛盾の分析は1つの特性値に関連する付随的矛盾を特定することから始められます (Altshuller, G.S.他, "Search for New Ideas: From Insight to Technology", Kishinev: Cartia Moldoveniaske, 1989, p.36)。この点に関連するV.ドゥブローフの提案も勘案されています。
IFR-1(第10章)は技術的矛盾の2つの問題記述それぞれについて定式化されます。この章の作業は次の手順で行います:
IFR-2は定式化した物理的矛盾のそれぞれについて行います。その結果として一群の物理的問題が明らかにされます。これについては、標準あるいは革新をもたらす{科学的}効果ガイドを利用して解決策を発見します(第14章)。
第15–18章はARIZ-85Cの対応する各部分と大きくは違いません。(今後の検討対象です)
上に挙げたように、サンクト・ペテルブルグでの会議には以下の3つの完全なヴァージョンのARIZとS.リトヴィンによる提案のリストとが提出されました:
会議では主な議題となったのは、TRIZ協会の理事会に提出して了解を得たうえで全てのTRIZ学級が用いることになるARIZのヴァージョンについての考え方でした。Ms.ズスマンはキシニョフのヴァージョンを用いるべきであるとの提案を行いました、ARIZ-SMV91(E)が次の利点をもっているためです:
しかし、他の参加者はこの提案を受け入れませんでした。もっとも大きな理由はARIZの構造が大きく変化していることです。数多くの提案を採用するためには構造を変えることは避けられないという説明は受け入れられませんでした。結果として採択された決定は、Mr.リトヴィンが既存の構造を大きく変更しないで有益な提案を取り入れたもう1つのヴァージョンを作成する、というものでした。つまりは、ふたたび、問題状況を定式化するセクションは含まないものとするというものでした。一方で、キシニョフ学級が自分の選択した方向で作業を続けることは承認されました。
私達は、このガイダンスに〈従いました〉。ARIZ-SMV91(E)はさらに4つのグループで試行され、とりわけ現実の問題を解決することにおいて良い結果を収めました。ケーススタディーの数は倍になり、詳細な教育計画が開発されました。最近では、ARIZの新しいヴァージョンに対応した新しい標準の体系が開発されつつあります。
私達はARIZの分析および解決策案の発想の部分について次の方向性をもって研究を続けています:
私達は生徒の皆さんがセミナーで入手したARIZ-KE-89/90(およびチェリャービンスクの科学ライブラリーのコピー)を外部に出さないように要請しました。これは詳細な点で差異の含まれた実験的中間的なヴァージョンだからです。SMVAヴァージョンは(同じく実験段階ですが)完成品であり、汎用性がありますから自習用の使用に耐えるものです。試用実績を拡大することも有益です。これらの理由で、私達はペトロザヴォーツクで開催された第2回TRIZ大会の際に主なTRIZ学級と専門家の皆さんに15部のコピーを配布しました。1991年の8月からはエカチェリンブルグのSOTECがARIZ-SMV91(E) の配布を始めました。これについて、反響、批判、提案を頂ければ歓迎します。
技術システムの各部分の間にはしっかりとした結びつきがあるため、ある部分(重要性のもっとも小さい部分でも)だけに生じた問題がシステム全体の問題につながる可能性があることは良く知られています。同時に、このような状況があるため問題が生じた部分ではなく他の部分を修正することによって状況を修正する可能性があるともいえます。その結果、改良を必要とする1つの状況に対して、多くのケースで問題を記述する方法が多数あり、そのため最小問題は{複数の可能性のなかから}選択することが必要になります。最小問題を選択する上での基準はステップ1.1の但し書き1(ARIZ-85C)に「全ては当初のまま変化しないあるいは単純化される、しかしその一方で、求められる作用(状態)が得られる、あるいは、有害な作用(状態)が無くなっている」と記されています。最小問題に取り組むことの主な理由は次の通りです:
ここでの主な難しさは上述の但し書きに従っても複数の最小問題が定式化される可能性があることです。アルトシューラがARIZ-77に付けた但し書きには「ある発明状況から最小問題を取り出す作業は次のように行う:存在する状況マイナス不都合な点、あるいは、プラス求められる利点(新たな質)」とあります。 (H. Altshuller, Creativity as an Exact Science, Soviet Radio, Moscow, 1979, p.44){原文のママ}しかし、この方式によってもシステム階層のどのレベルで変化を〈凍結〉しなくてはならないのかはっきりしないため、いくつかの問題記述の可能性があります。例えば、ノロを輸送するという状況では、次のような問題記述が可能です:
ARIZ-82では最小問題を取り出す但し書きに「あるいは簡素化する」という一節が追加されました。この節はシステム階層のどのレベルで最小問題を選択する場合にも当てはまります。それでは、どのレベルでしょうか。変化が最小限となるシステムレベルと考えられます。しかし、それがどのレベルが始めから判るでしょうか。
矛盾を解決する際に対象システムの内部に既にある資源を使うとに高い理想性が達成されるということは{TRIZコミュニティーでは}よく知られています。当然ですが、システム階層のそれぞれのレベルにはそれぞれ対応する資源が存在し、こうした資源の使い方にもそれぞれに特有の可能性があります(これについては資料2も参照)。問題記述を選択する前に資源を評価することができるでしょうか。一般的にいうなら、この問いに対する答えは、できるです。しかし、それでは分析を行う替わりに資源を手当り次第に捜すことになり、通常の試行錯誤とあまり変わらないことになります。
以上から、私達は最小問題定式化の方法では単一の最小問題を迷うこと無く特定することができないと結論します。さらに、「全ては当初のまま変化しない」と「全ては単純化される」という2つの基準はユーザーを逆の方向に向かわせてしまうことがあります。例えば、システム階層が2しかない最小限の標準的な問題状況を想定してみましょう。システムに問題 (Drawback) D1があり、この欠陥を取り除こうとすると別の問題D2が生じてしまいます。ここで「全ては当初のまま変化しない」ようにしようとすると私達はD2を取り除く課題に取り組むことになります。ところが「全ては単純化される」に着目した場合には、私達はD1に取り組むべきです。なぜなら、D1について満足のゆく解決策が得られれば、D1を取り除くために通常講じられる方策は不要になり、その結果何らかの単純化を期待することができるからです。
システムの変化が最小限となるように目指すことに関する心理的な側面について。
最小問題を定式化することが通常この観点からいって効果的に作用することは確かです。しかし、解決策を導入することによってシステムはいずれにしても変化するのだということに気づかないという結果が生じてしまう可能性があります。その変化はシステム階層のあらゆるレベルで肯定的にも否定的にも影響を与える可能性があります。ARIZ-85Cには解決策を導入することに伴って必要となる変化を明らかにし、解決策の新しい応用法を捜すというステップが設けられています。しかし、これでは不十分です。V.ゲラシモフは解決策が非れた後の状況をさらに「強調して」、「全ては変化した」と表現することさえ出来ると考えています。今日私達は肯定的な変化 (super-effect) (Gerasimov and Litvin, “Basics of the method of conducting Value Engineering,” Manuscript, 1991){原文のママ}および否定的な影響 (subversion analysis) (Zlotin and Zusman, Searching for new ideas in science, Collected articles “Solving Scientific Problems,” Kishinev, “Progress,” Kartya Moldovenyaska, 1991){原文のママ}を明らかにする方法を手にしています。
これまで述べてきたことから、革新が求められているある状況から最小問題を特定する客観的な基準はまだ存在していないと結論づけることができます。だからといって、最も期待される問題設定の方向を事前に(確率的にでも)予測することは不可能だというわけではありません。なんらかの基準を作り上げることは可能と思われます。しかし、それはかなり主観的な物です。(ARIZ-SMV91(E)、3章、資料8を参照)
技術の進化の水準を反映する全般的な理想性の他に、あるシステムと状況が持つ特定の資源群によって左右される限定的理想性があります。これがあるため、全般的な理想性の高い解決策がある限定的な視点から見るとそれほど理想的ではないかもしれないのです。その典型的な例は回路遮断器に関連する問題です (Zlotin and Zusman, “Come to a firing range,” Part 2, Collected articles “How to Become a Heretic,” Book series: “Technology? Youth? Creativity”: Petrozavodsk, Kareliya, 1991)。
ズローチンの指導を受けたB.リャールスキー(サンクト・ペテルスブルグ、エレクトロシーラ社)は状況を次のように伝えています。課題はバイメタルが破断することを防ぐことです。破断の原因は極めて大きい電流が流れることによって大量の熱が発生することです。破断のメカニズムは以下の通りです:バイメタルのそれぞれの層はそれぞれに固有の熱膨張率をもっています。高温によって、2つの層の実際の膨張の差が過大になり破断が生じます。得られた解決策は回路の遮断をバイメタルに替えて電磁式回路遮断器(代替的システム)で行うことでした。これを導入する上でのシステムの変更は、既存の構造に幾つか穴をあけるだけという最小限のものでした。
後に、アルトシューラは1980年にペトロザヴォーツクで開催された第一回TRIZコンフェレンスの際にTRIZ教師の前でこの問題を取り上げました。そこで、他の解決策が2つ発見されました。
解決策を比較してみましょう。形状記憶効果を利用する解決策ではシステムの構造を一切変えなくて済みますからもっとも理想性が高いことは明らかです。続いて理想性が高いのは、逆方向に曲げる解決策で、始めの解決策(遮断方式の変更)は最も理想性が低いといえます。しかし、現場の限定された観点から理想性を見た場合には形状記憶効果の解決策は実際には使えません。こうした素材を購入することは当の工場にとっては不可能だからです。さらに言えば、バイメタルは購入品で供給元は一切の構造の変更に応じようとしません。他方では、最初の解決策に沿って既存の構造に幾つかの穴を追加することは何ら問題ではありません。こうした事情から当初の解決策は最も高い限定的理想性を持っているのです。
限定的理想性という観点を考慮するとARIZは唯一正しい解決策を導きだすのではなく、幾つかの解決策案を提供するべきだということになります。複数の案が得られたら、その中で限定的理想性が最も高いものを採用することが可能になります。ARIZに矛盾解決の模範的方法を復活させることも必要になるかもしれません。模範的方法で得られる解決策は通常レベル2(標準で得られるのはレベル3)ですが、レベル2の解決策の方が限定的な理想性は高いことが十分にあり得るからです。したがって、標準は模範的方法に取って代わることはできないのです。