このページでは、中堅TRIZマスターの一人、ロシアモスクワ在住のアレクサンドル・クドゥリャフツェフが1988年に当時のソ連邦発明発見国家委員会の立場から「技術開発のためのアイデア発想法の概要」という講義をおこなう教師のために書いた「技術開発のためのアイデア発想法概論」という資料を紹介します。
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ソ連邦発明発見国家委員会
A.クドゥリャフツエフ、1988
科学技術の発展を促進するためには技術開発に携わる研究者・技術者の労働の生産性を大きく向上させる必要があります。研究者・技術者の仕事に含まれる創造的な側面の生産性を高める前提となるのは様々な種類の方法を幅広く使いこなすことです。新しい技術のアイデアや問題解決の方策を探し出す方法もここに含まれます。こうした方法は今日数多く存在しますが、我が国の文献ではしばしば断片的にあるいは小さなグループ単位で紹介されているため、大半は広範に知られぬままとなっています。
本稿は数多くの方法を概観して「技術開発のためのアイデア発想法の概要」というテーマで教える教師が授業に備えて準備をする際の素材を提供することを目的としています。
ここで触れる全ての方法について簡単に説明を加えるだけでも資料として過大なボリュームとなってしまいますので、本稿が提供する情報はレジュメ的なものになっています。したがってほとんどの場合、各方法のフローチャートと各ステップの特徴を簡単に説明するところまでしか行いません。各方法を使った作業の例も割愛しました。ブレーンストーミング、形態素分析、ARIZ{技術難問解決アルゴリズム}、機能・コスト分析 {VE} の解説もレジュメ的なものとなっています。これは、これらの方法について別途教材が準備されることになっているためです。新技術のアイデアを探す上でのコンピュータの活用の研究に本稿が触れていないのも同じ理由によるものです。
他方紙数の制約にもかかわらず、可能な場合、各方法の内容そのもの、リコメンデーションリスト、チェックリストは完全な形で引用するようにします。
本稿で紹介する資料は次の4つの部分に分かれます:
このうちはじめの3つの部分にはそれぞれ:
を目指すやり方が紹介されます。
最後の部分では、実際の条件、解決すべき問題のタイプ、問題解決に携わる人の特性を考慮した各種の方法が紹介されます。
「技術開発のためのアイデア発想法の概要」という授業を担当する教師には次の点に留意するようお願いしておくべきと思います。
ブレーンストーミングは集団でアイデア探しをする方法として最もよく知られ使われるものに数えられます。この方法は1930年代にアメリカのA.オズボーンという研究者が作ったものです。方法の主な狙いは参加するメンバーの各々が対象テーマについてできるだけ多くの提案をするように環境作りをすることです。準備、ブレーストーミングの実施、アイデアの評価と選択、高く評価されたアイデアの改良・発展という複数のステップで行います[4]。
準備の段階では、まず課題を正確に定式化{内容に即した形式で特定}し(一般的な表現で)記述し、次にその課題をできるだけ数多くの下位の課題に分割します。この際、独特のチェックリストを使うことができます:
準備段階の作業には、事実関係の参考資料(対象のモノの類似品、作用原理についてのデータ、不都合の原因、様々な制約に関する情報、など)の収集も含まれます。更にこの段階で、ブレーンストーミングに参加するメンバーの選択も行います。メンバーはアイデア出し担当(創造的なイメージや空想する心を持っている人たち)と専門家(分析的に思考する性向をもち、専門家として実績のある人たち)とに分けます。専門家はアイデア出しには参加せず、アイデアの評価選択を行います。
「出たアイデアを批判してはいけない、参加者の間に心理的な葛藤が無いようにする、冗談や言葉遊びの奨励、参加者が興味を持つようにする、強制の無い自由な雰囲気で議論する、など」準備、遂行段階で用いるルールの効果で、与えられたテーマについて短時間で数多くの極めて多様なアイデアを得ることができます。続いて、専門家がアイデアを評価して、優れたアイデアを更に発展させます。通常参加者にはルールを説明するだけで、事前に教育を行う必要はありません。科学的な議論や課題設定に参加した経験を持つ専門家がリーダーとなって議論の司会・進行を担当します。参加者の人数は通常5–15人、ブレーンストーミングの時間は30–45分です。議論は活発なテンポで進めます。出されたアイデアはテープレコーダーや速記によって全てを記録します。
ブレーンストーミングには幾つかのバリエーションがあります。例えば、参加者一人一人が予め準備したカードに自分のアイデアを1つづつ書き(これに10分あてます)、次に書いたアイデアを順番に読み上げ、聞いているメンバーは他の人のアイデアを聞いて考えたこともカードに記入するというバリエーションがあります。アイデアをカードにしてゆくので結果を分類する時の手間を省くことができます。
興味深いバリエーションとしてリバース・ブレーンストーミングと名付けられるものがあります。この方法は具体的な課題を解決する目的で使われます。第一段階では対象とするモノについてありとあらゆる欠陥を見つけ出すことに集中してアイデアをだします。分析を通じて開発あるいは改良対象となっている特定のアイデアや製品のもつ、不十分な点、限界・制約、欠陥、矛盾を明らかにします。出されたアイデアは、アイデア出しに参加したメンバーが一旦評価・検討して、次に専門家が明らかに間違っている判断を取り除き、実際に確認されている欠陥のリストと対象させながらより徹底した検討を行います。リバース・ブレーンストーミングの第二段階では、発見された欠陥を取り除く方法を探します。この段階では、通常のブレーンストーミングのルールを使います。
ブレーンストーミングの主な欠陥は課題を深く認識する時間が設けられていない点です。また、多くの人にとって、個別に自分でじっくり考える方が効率が良いということがあります。
ブレーンストーミングのこうした欠陥を克服することを目的として、J.W.ヘーフェレによって「メモ帳法」と呼ばれる方法がつくられました。
ヘーフェレは集団で議論=セッションを行う前に十分長い時間をとって、参加するメンバーにテーマを与えることを推奨します。さらに、メンバーにメモ帳を配っておいて毎日必ず二回テーマに関するアイデアをメモすることを求めます。こうした作業手順の他、この方法の特徴としてメンバーに(自問自答用の)チェックリストを書いた参照シートが配布されます[5]。
有用と思いますので、チェックリストの一部を下記します。
注意すべき点は、個々の設問の意味はチェックリストを使う度に変化し、改良したいと考えている対象のモノに直接対応する形で解釈されるようになってようやく落ち着くということです。ヘーフェレは、チェックリストの問いは最適な問題提起を発見するための謎かけなのであり、従って問いの立て方が妥当だとか妥当で無いとかを問題にしないようにと注釈しています。なお、設問の中のいくつかは、当該の研究が終わるまで一貫して視野に入れておく必要があります。例えば「何かを逆にできないだろうか?」という設問は、ヘーフェレの考えるところでは、ヒューリスティックとして大きな価値を持った問いであり、研究を通じて視野に入れておきたい問いの1つと言えます。
ヘーフェレの著書『創造と革新』にはこの「逆向き」の変化の例が紹介されています。例えば、油圧シリンダー:ピストンが動くものと、シリンダーの方が動くもの;車輪のついた台車とローラーテーブル;文字盤の上で矢印が回転する、矢印は固定されていて文字盤が回転する;引きバネと圧縮バネ[5]。
これはアメリカのC.ホワイティングという技術者が提唱した方法で、対象とするモノについて新しい独創的なバリエーションを考え出したり、並存可能な追加機能を発見したりする目的で使用します。原理は、対象とするモノに新しい、際立った、意外な特徴や性質を移植したり、独創的で課題解決手段として価値の高い組み合わせを発見したりすることです[6]。
この方法を使う手順は次の通りです。
なお、作業の参加者に対象としているモノの名前を知らせる前に2と3のステップをやってもらっておくようにすると、性質や特徴のリストを全く自由な観点で作ってもらえます。
アメリカでは、新しい広告作りや、独創的な商品を開発するアイデア探しにこの方法が広く使われています。わが国でも、消費財のモデルチェンジのアイデアを得る目的で活用されています。この方法は空想の力を伸ばしたり、イメージを豊かにする訓練に活用することも可能です。
この方法はソ連の研究者G.Y.ブーシュが提唱したものです。ブーシュの狙いは情報が不十分な、言い換えれば、論理的なアプローチが使えない状況で技術的難問を解決するアイデアを発見する方法を研究者に提供することです。こうした場合の1つの手段として連想と比喩の連鎖(ガーランド=花かざり)を使うと、1つの知見分野から別の知見分野に移行させてくれるため、以前発見したアイデアを別の形で解釈できるようになります。研究者の記憶の連想が、このような形で、一種独特の情報データベースの役割を果たすことになります[7, 8]。
何らか既存のモノを改良する目的でこの方法を使う場合の主な手順は次の通りです。
この方法を作ったブーシュによれば、上述の手順は簡略版であり、例えば、問題の状況を比喩的に表現して分析する、概念の語源的あるいは系統的なグループを作りそれを他の言葉に置き換える、比喩の花房やガーランド(花かざり)を作りそれを解釈しなおす、などの補助的な手順を加えて拡張、補強することを薦めています。
ブーシュの方法は次のCARUSシステムと組み合わせると効果的です。
CARUSシステムと名付けられた設計の方法は同じソ連のV.A.モリャーコという研究者が開発したものです[9]。この方法は次の5つの基本戦略からなっています。
考案者の考えでは、上にあげた5つの戦略はすべて構造・機能を変化させることを目指すものです。CARUSシステムの方法体系では、上の戦略は様々な具体的な行為を行うことで具現化されますが、こうした行為の組み合わせを戦術とみなすことができます。
以下に基本的な戦術を列挙します。
CARUSシステムでは、上に列挙した戦術の他に次の一連の方法を用います。
CARUSシステムの上記の方法を分析すると、これらは個々の技術者の技能を訓練するレッスンの役割を果たしていることがわかります。
以上の他にも、実績を積んだ何人かの技術者が技術開発に取り組む人がより良いアイデアを発見するようサポートしてくれる様々な手段を提唱しています。その一例は、アメリカの研究者E.クリークが提唱したリコメンデーションリストです[10]。
イギリスの技術者M.W.ティーリングとE.R.レイスウェイトは新しいアイデアを得ることに関して興味深いルール体系を提唱しています[11]。
同じ目的のものでA.オズボーンのチェックリストとT.エイロアートのリストも広く知られています[12]。
訳注:小見出しの言葉は訳者が付け加えたものです
エイロアートのリストの興味深い点は含まれているリコメンデーションや質問がランダムに並んでいるわけではないということです。内容は単なるメモやリストではなく、むしろ方法に近いものとなっています。この面で、一層興味深いのはジェルジ・ポーヤが提唱した忠言と質問のリストです[13]。
訳注:この著作は日本語訳がありますが、下記の内容はロシア語から翻訳しました。提唱者はハンガリー出身の数学者ですので、やや数学式の表現に翻訳しました。また、提唱者名のポーヤはウィキペディアの表記を採用したものです。
専門分野ごとの自問自答用のチェックリストやリコメンデーションのリストは現在かなり広く普及し有効に活用されています。
全ての設計の方法は決まって、作ろうとしているモノが果たす機能を特定することを、作業の実行に不可欠な初期情報として求めています。他方で、機能そのものをどう設定すべきかという課題が取り残されています。目標の設定に関するリコメンデーションを挙げている数少ない文献の1つは平島廉久の『大衆消費財のアイデアと開発』{ロシア語版の題名の日本語訳。原著名は参考文献参照}という本です[14]。
平島のリコメンデーションは日本の企業の経験に基づいて、主として大衆消費財のメーカーを対象として作られたものです。著者は消費財の新しいアイデアが生まれる主な源泉をいくつか指摘しています。
第一の源泉となるのは、既存の消費財に対するユーザーの不満です。現在、消費財メーカーはクレームを何か恥ずべきものというより、主にアイデアの源泉と捉えています。クレームに関連する業務は次の形態になっています:
第二の源泉は、ユーザーは製品を購入することによって生活の安全・安定を得ようとしているという事実に注目することです。従って、生活上人々に不安を感じさせているものの分析は新しいアイデアの源泉となる可能性があります。著者の考えでは、中でも重要なのは健康、育児とこどもの教育、食品・医薬品の安全、犯罪とその予防、交通・日常の事故、地震です。
心配や危機感から新たなニーズが生まれます。これらを分析して新しいサービスを提供することを考えなくてはなりません。
第三の情報源は、あまり売れない製品に着目してなぜ需要がないのか原因を分析することです。平島の本[14]には製品が売れないことについて、考えられる原因のリストとネガティブな現象を取り除く簡単なリコメンデーションとが挙げられています。例えば、この分析を行う過程で新しい製品や現状から大きく改良された製品のアイデアが得られる可能性があります。
第四の源泉はユーザーにとって大切なモノの移り変わりを分析することです。基本的に大切なモノの変化はゆっくりと進むものですが、1973年のエネルギー危機、疫病の流行などの現象はしばしば大切なモノが急激に大きく変化するという結果につながりやすいと言えます。
最後に、第五の情報源は「変な」人たちの生活様式の分析です。製品を使う普通のユーザーはそうした製品そのものによって作られた決まり切った生活様式に従って生きています。こうしたユーザーから新しいニーズの手掛かりが得られることは極めて稀であり、あったとしても眼にはっきり見える形にはなっていません。アイデアにとってより貴重な情報源は自分の流儀で生きている、異端児、つまり周囲には変に見える人々です。
この日本の著者が提案しているリコメンデーションは一貫した方法ではなく、むしろテクニック集というべきものです。しかし、仕事を進める上での一番初めのステップである、製品の目標を形作ることに触れている点で価値があります。
……
発想されるアイデアの多様性を増す方法が発展してゆくと、アイデア発想の心理的なメカニズムを意識してそれを活用しようとする段階が必ず生じます。例えば東ドイツで行われている研究は、解決策を生み出そうとする作業の基礎となる論理的検討の諸段階と創造的思考のプロセスで生じる心理的なメカニズムとの間に一定の対応関係があることに気づかせてくれます[15]。
東ドイツの研究者のあるグループの研究では、技術開発プロセスの一般的構造は次のようになっているとしています:
また、同じ研究者グループは技術開発のプロセスは解決に取り組む人たちによる次の諸要素の実現によって成り立っているとしています:
この東ドイツの研究のような業績は純粋に言えば、方法といえるものではありません。とはいえ、こうした研究は、経験的に発見されたテクニックや方法の基盤となる科学的な基礎固めという意味で、方法の開発に一定の役割を果しているといえます。こうして明らかになったメカニズムは産業の実践において問題解決の専門家によって技術開発のプロセスを計画的に行う目的で活用されています。
「シネクティクス」という言葉はギリシア語で様々な要素を一緒にすることを意味しています。方法としてのシネクティクスは1950年代の中頃アメリカの研究者ウイリアム・ゴードンが提唱したものです[16] [17]。
シネクティクスの基礎となっているのはブレーンストーミングです。ただし、通常のブレーンストーミングは創造のテクニックを特別に教えられているわけではない人たちが参加して良いことになっています。一方、シネクティクスはブレーンストーミングを行う常設グループを設けることを想定しています。このグループは、テクニックも経験も蓄積してゆきますから、ランダムに選ばれた人たちよりも、当然、アイデアの生産性が高くなります。シネクティクスでは新しいアイデア発見をサポートするアナロジーや連想を広範に活用します。
シネクティクスのグループは、まず「与えられたままの問題」PAG {=Problem as given?} を理解することから問題解決の作業を始めます。続いて、内容を確認しながらPAGを「我々の理解する問題」PAU {=Problem as understood?} に変形します。次に、ゴードンによれば、普通でないものを普通のものに普通のものを普通でないものに変化させ、表現を変えれば、問題を常に何らかの新しい視点で見つめる体系的な作業を行いそれを通じて心理的な惰性を打破することを基礎として、グループ独自の問題解決策を産み出します。この作業は、アナロジーを利用することと、意外な組み合わせと連想を展開してゆくことという2つのルートを使って行います。
シネクティクスで用いられるアナロジーは次の4種類です;
シネクティクスの会合(セッション)は必ずテープレコーダーで記録して、のちに問題を解決する方策を完成させる目的で内容を徹底的に検討します。
シネクティクスの作業に参加する人(シネクター)に求められる一連の要件もなかなか興味深い内容です。具体的には次の通りです:
この方法はフランスの研究者Y.ブルヴァンのリーダシップの下に開発されました。形としてはシネクティクスに似通った方法です。ブルヴァン自身、この方法にはブレーンストーミング、シネクティクス、モーレの形態素表の要素と、METRAのアナロジー法としてまとめられた自由な連想を活性化する要素とが含まれているとしています。
まずMETRAのアナロジー法は次のステップから成り立っています。
このアナロジー法はMETRAシステムの一部です。METRAシステムとは、このアナロジー法、モーレの形態素表、検証ステップの3つを順番にぐるぐる回しながら繰り返すことです。
この方法は、複雑な社会的・技術的問題を解決する目的で繰り返して使われました。この方法を使う場合は目的に合わせて訓練された専門家のグループが存在することが前提となります。
形態素ボックス法は1942年にスイスの天文学者フリッツ・ツビッキーによって作られました[19]。ツビッキーは形態素アプローチによる研究法を複数提唱していますが、なかでも形態素ボックス法は最も研究が進み広く使われているものです。方法の主な狙いは、通常研究対象を変化させる可能性の限界を見極める目的で、その物の作り方のバリエーションを全て網羅することです。
この方法は次のように使います。
形態素ボックス法はその後各国に出現した多数のアイデア発想法の基礎となりました。ソ連ではオドゥリンとカルターヴォフがこの方法を発展させています。
図1に形態素ボックス法のバリエーションの1つのフローチャートを紹介します。
この方法は1955年にフランスで作られました。作者はアブラム・モールです[21]。ソ連では今日まであまり知られていない方法です。この方法についての紹介は参考文献[22]で見ることができます。
発見表はフランツ・ツビッキーの形態素法に近いものですが独自の特徴をもっています。形態素表と同様にこの方法でも、対象としているモノの構成(形態素)のもつ必然性およびそれを得る技術的方法の検討を踏まえて、考えられる全てのバリエーションを体系的に網羅することを目的とします。しかしモールの発見表では検討するバリエーションの数を妥当な数に絞り込むことがはるかに容易です。発見表の要点をもっとも単純な形で示すと、2つの特性の軸を縦横に組み合わせた表ということになります。各々の特性軸には特性値を一定の基準で順に並べることも、ランダムにならべることも、また、特性値を質的なものとすることも量的特性値もすべて許されます。また、形態素ボックスには対象のモノに関する特性のみを含めますが、発見表では、例えば、生産、消費、稼働などの条件に関する特性も考えることができます。
発見表の主なステップを挙げておきたいと思います。
発見表はそれ自体として完成した技術的手段を与えてくれるものではありません。2つの特性の組み合わせがそのままで解決策となりうるのはごく簡単な課題の場合に限られます。この方法が提供するのは、多くの場合、既存の知識を体系的に整理することを助け、検討の余地や、見落としやすい可能性を明らかにしてさらに検討を進める上での手掛かりを与えることです。特性の組み合わせは実り豊かな連想や問題設定の可能性を提供してくれます。アブラム・モールは発見表はあらゆる知識分野、活動分野に適用することができる共通の方法だと考えてます。この方法を使って最も多くの実践的効果が得られているのは新商品開発の分野です。
なお、ソ連でも似通った方法が開発され活用されていることを付記しておきます(例えば、R.P.ポヴィレイコの十項目探索表[23]とG.S.アルトシューラのファンタグラム法)。
ノヴォシビリスク出身の工学研究者リューリク・ペトローヴィッチ・ポヴィレイコは十項目探索表 (DMP) という方法を提唱しました。十項目探索表とは横の欄には設計の際に考慮すべき質的な指標が、縦の欄には課題を達成するアプローチが記載された表を指します[23]。どのような質的指標と課題達成アプローチが取り上げられているか興味深いところです。作者は文献で出会った課題解決アプローチ (428) と質的指標 (129) とを全て分析しました。これを比較検討して指標の数を95、重複を除いた課題解決アプローチを223に絞り込みました。さらにこれらを同程度に重みのある指標とアプローチ各10個のグループにまとめました。
次にあげるのは機械を設計する際に考慮される主な指標のリストです。
次に典型的な課題解決アプローチのグループを紹介します。
上にあげた指標と問題解決アプローチとで10×10の表を作ります。次に、課題の対象となっているモノについて、表の交点を順番に当てはめて検討します。この作業の目的は、10×10の各交点(あるグループの指標についてある問題解決アプローチを適用することになります)それぞれについて何か新しいアイデアを考えてゆくことです。作者は、製品の外形やデザインを変えたり、製品が機能を実現する原理を新しいものにするなど、設計を根本から替えるなど大きな変化を導入しようとする課題の際にこの方法が効果的だとしています。
Y.M.チャピャーレの業績にツビッキーの形態素分析の更に進化した姿を見ることができます[25]。
チャピーレの組み合わせ法の主な新しさは組み合わせを探す際に様々な法則や手法を広く用いるところです。組み合わせ法では対象のモノを分析する新しいアプローチが提供されています。このアプローチのキーポイントは次にあげる一連の軸を取り入れている点です:
ここでの形態素表の外形的特徴は、各軸の内容となる具体的なバリエーションを横の列とせず垂直な軸の形に重ねてゆくことです。
組み合わせのアイデア出しでは対象のモノについてのアイデアリストを使います。組み合わせ法の狙いは形態素分析と同じで、幅広い分野に目を向けてアイデア探しを行うことです。方法の作者は表を使って得られるアイデアは特許クレームの形式で表現すると、主な必要構成要素がすべて含まれるようになるので使いやすいと示唆しています。
組み合わせ表を作る際にはまず、作業装置の構成要素の列を取り出します。作業環境も作業装置の構成要素の1つとしてと含めます。次に、物質状態{相:気体、液体、固体など}、作業装置の素材の特性、幾何学的形状、構造、動く部分と動かない部分との関係、作業装置の各部分の結びつきを書いてゆきます。
組み合わせ表では唯一の最終案を得ることは考えず、たくさんの発明アイデアを得ようとします。
チャピーレはこの作業をどのように進めるとよいかを示しています。複数の軸の検討を並行して行わず軸を順番に片付けて行く、あるいは、軸に優先順位をつけます。(つまり、まず作業装置の物質状態を決定してから、作業装置の力の伝達方式の諸案を考える、などとなります。)組み合わせ法では単に数多くの案が得られるだけでなく、検討の視野がより広くなることを指摘しておきます。
製品の改良あるいは開発の際に機能的なアプローチに準拠する各種の方法も広く普及しています。以下では、こうした方法を紹介します。これらの方法には、機能を実現するアイデアを探すプロセスに極めて多様なアプローチがあります。
これは1969年にイギリスの学者A.フレーザーが作った方法です。彼は機械で発生する複雑な問題を解決する方法を考案しました。内容的に、この方法は不具合の原因分析法といえます[26]。まず、作者はすべての課題を次の2つのグループに分類します:
課題を達成するプロセスは次のステップからなります。
ここに挙げた簡単な紹介からも見て取れることですが、初めの6つのステップは情報収集のステップです。フレーザーは各ステップについて更に詳細な説明を行っていますが、課題の多様性に応じて各ステップで行う内容も変化します。この方法は課題の設定ならびに確認の段階で役立つかもしれません。
これはジョン・クリス・ジョーンズが1970年の著作で提唱している考え方です。技術システムの進化の分析に基づいて作られた方法です[27]。この方法の主なステップは次の通りです。
ジョーンズは機能発明法は技術システムが使われる環境が大きく変化した時、すなわち、そのシステムがもはや自分の役割を果たすことができなくなった際に活用する方法だとはっきりと述べています。
この方法では、既存の物理知識を駆使すると技術システムをどのように変化させることができるか、その可能性を目的に合わせて体系的に探索することが想定されています。この方法を分析すると、実質的にはじめから主機能を巡る作業を始めることがわかります。いうなら、検討作業が経済的だという点が興味をひきます。また、この方法の最初の部分は機能の構造を分析的に図式化するダイアグラム作りに幾分似通っていると言えます。
E.フォン・ファンゲの設計プログラム[28]は6つの主なステップから成り立っています。
上のリコメンデーションからおわかりのように、ファンゲの関心は新しいものを作り出す過程そのものよりも、それ以前あるいはそれ以降のステップに向けられています。
西ドイツの研究者ヴォルフガング・バイツの方法[29]による設計法には次の3つの主なフェーズがあります:
また各フェーズは幾つかのステップから成り立っています(図2参照)。ここで提唱されている手順の興味深い点は、何よりまず、情報の総合(シンセシス)と分析(アナリシス)とのステップが行儀よく交互に並んでいる点です。
その点でバイツの方法にはある完全性があります。この方法の完成度を高めてゆくと、必然的に、コンピュータの可能性と組み合わせる方向に進んで行くと考えられます。
西ドイツの研究者カールハインツ・ロートが提唱した方法です[30]。この方法で一番重要な点はステップの順序に従って行う作業とその際守るべきルールを示したアルゴリズム風の方法と、方法に即した情報集の役割を果たすカタログとです。ロートはこのカタログの作成に大きく注力しています。作業の過程でカタログから引き出す情報は、個々の具体的ケースに即して定められる選択基準にのっとって選びます。
設計プロセスそのものは次の主なフェーズに分かれます:
また、各フェーズは幾つかのステップからなります(図3参照)。全体としていえば、この方法は機能の観点から新しい製品(技術品)の設計をまとめる方法と言えます。この方法では、機能を製品の働きを決定する1つの特性として捉えます。このような働きとして、放射、変化、物質・エネルギー・情報の蓄積、これらのプロセスの制御が挙げられています。
ロートの方法はフローチャートのサイクルを何度も回すことを想定しています。
東ドイツのフリードリッヒ・ハンゼンが1953年に開発した方法です[31]。この方法では、設計プロセスにおける基本的なステップは何かということが規定されています。
ハンゼンの考えでは、新しいモノを開発するプロセスは次の作業から成り立っています:
興味深い点はハンゼンが次の4つのステップの中で上の諸作業を使うことを提唱しているところです。
ハンゼンは自分の方法を用いた設計、および、前述の基本的な作業の遂行に関連して一連の指示を付けています。すなわち:
西ドイツのヴォルフ・G.ローデナッカーのこの方法については、出典[32]の内容に沿って紹介します。
ローデナッカーの方法論的設計アプローチの基となっているのは、あらゆる機械・装置の基礎には一定の機能を実現することになる「物理的出自」なるものがあるという考え方です。ローデナッカーは設計作業を抽象から具体へと流れる情報交換のプロセスとみなしています。彼は設定された課題(当初のモノの製品に転換すること)を機能構造の形に厳密化・抽象化し、その機能構造を得る物理的相関関係を求め、その相関関係に従って設計上の構造を決めてゆきます(図4参照)。
ローデナッカーは物質を変化させる機械や装置を例として、方法的助言を行っています。それによれば次のステップを実行してゆくことになります。
この設計法の特徴はローデナッカーが第2ステップで機能構造を検討する際に最終的な形式論理的システムを構成する機能だけを考える点です。この機能とは、技術システムのエネルギー・物質の配分と結びつきおよび(あるいは)信号の処理および制御を指します。
論理的関係を検討した後はそれを実現する可能性を持つ物理的関係を検討します。ローデナッカーはここで物理現象や原理を検討し、その際とりわけプロセスにおける時間的な流れを考慮します。情報を得る方法としては実験を最優先しています。
続いて、第4ステップで構造的な相互関係を検討して設計を更に具体化します。この構造的相互関係は、作用面、作用空間、作用対象および作用動作(その場のエネルギーの形態)に見出される通称「作用の場の構造的特徴」に基づいて決定します。次には、具体的な物理プロセス、作用の場、与えられた要求に対応して選択した素材を考慮して、計算を行って構造原理を検討します(第5ステップ)。
ローデナッカーは設計結果の質・量に悪影響を及ぼす感情の動揺の影響を抑えることに特に重視します(第6ステップ)。
ローデナッカーの方法論的設計では物理的状況が前面にクローズアップされます。彼はこれに基づいて具体的な設計課題を明らかにしようとするだけでなく「既知の物理的効果を何かに使えないか。」と自問自答して方法に則って新しい装置や機械を「発明」しようとします。
ローデナッカーの方法は1960年代から1970年代にかけて西ドイツで広く知られた方法であることを付け加えておきます。
デンマークのE.チヤルヴェによる製品作りのプロセスでは、先ず必要とされる特徴(機能)を明らかにし、次に設計の過程で一連の主な特徴(特性値)を調整し、その後、実現されることになる特徴群を検証することを想定しています。
作り出す製品の具体的な機能について集めることになる主な特徴、特性値としてチヤルヴェが想定しているのは
です。
チヤルヴェは製品の主な機能を「入力データによって出力データを決定する」ための手段と捉えています。主な機能あるいは機能体系を作り上げることが彼の合成プロセスの最重要要素です。このプロセスではこうした機能・機能体系を「機能−手段」のツリー状スキーム(言い換えれば、目的–手段ツリー)の形でまとめることを推奨しています。
チヤルヴェはプロセスの各ステップ毎に明確に規定された作業の順番が重要だと考えています。彼は、各ステップがそれぞれある特定の情報を得る目的を持っているとしています。ステップを抜かして先に進んだり、早い段階で特性値を過度に詳細に、あるいは、過度に厳密に決めようとすることは禁物とされます。
また、判断基準の体系を作ること、それを常に適用しながら作業を進めること重視します。
「製品合成作業の始めに、問題の分析からのアウトプットとして二種類のデータが得られます:です。望まれる製品の判定基準は、設計作業の全過程を通じて、各ステップでの判断の指針となる基礎データとして使います。」
- 一方は、求められる機能(主機能)の定義
- もう一方は、望まれる製品を示す判定基準としても記述できる、求められる特徴のリスト
この方法では、製品とその構成要素の形状に特別な意味が与えられ、これに一定の優先度を与えることを推奨します。美的な判定基準が重要な場合には、全体の設計に整合するように各要素の設計を調整します。性能やコストに関連する判定基準が優先される場合には、各要素の設計を優先します。製品の要素の形状の設計では機能に影響する表面を丁寧に検討することが極めて重要です。
製品合成の各ステップで次の共通作業手順を繰り返し実行します:
方策案を探す際には、直感に基づく方法あるいは体系的な方法を使ってアイデア発想を行うことが推奨されています。その際、各ステップでの方策案アイデア探しの目標は「理論的に可能と考えられる案が多数得られる分野を探すことです。」
[33]
考えられる方策アイデアの数は理論的には無限といえますが、その主なタイプは検討範囲に入っってくるはずだとされます。これによって、最善のバリエーションを論理的に選択することが可能になります。
作業プロセスがステップを追うに従って直感的な部分の比重が小さくなり、最後に近いステップではより多くの判定基準に相互に比重づけをして考慮することが必要になるという、チヤルヴェの考察は重要です。判定基準はアイデアと同等な重みを持っています。
「従って、最終結果(製品)は相互に全く異なる2つの要因に依存することになるます。その2つとは:です。」
- 第一に、得られたアイデアであり、
- 第二には、『どのようなアイデアを選ぶべきか?』という問いに回答を与えてくれる判定基準
チヤルヴェの著作[33]には量的規定のついた構造、製品全体とその構成要素の形状を導き出す具体的な方法が紹介されています。量的規定入りの構造案は構成要素をごく簡潔に表現した図式モデルを使って検討します。ここでの主な目的は、構成要素相互の関係を考えながら、それぞれのサイズと、相対的な配置の最適バリエーションを選択することです。
この作業の効率を上げるために、様々なバリエーションを体系的に検討する方法が採用されます。選択肢のリストを完全かつ分かりやすく作れるのは、構成要素の数が限られている場合に限られれます。このため、最も重要な構成要素だけを使って構造検討を行うことが示唆されています。具体的には、構成要素の数は2から3とします。ここで得られたアイデアは、ある種類のアイデアの代表例として扱います。
西ドイツの研究者コッラーが提唱した設計法について考える際には、この方法が次の3つの部分から構成されていることに注意しておくと良いでしょう:
この方法の設計プロセスはきれいに整理されています。全体が幾つかのステップに区分され、それぞれのステップに一定の作業プランが設定されています。各ステップの作業成果はその段階で考えられる方策案の集合で、その中から別途設定する判定基準を適用して良い案を選びます。選ばれた案が次のステップでの検討対象となります。もっとも大括りにした場合、この設計プロセスは次の3つの部分に分けることができるます:
{シンセシスを総合と訳しました。既存の知識から新しい知識を作り出すことを意味します}
より詳細な区分は図5に示されています。
作者のコッラーは製品設計の手順を物理アルゴリズム設計法と名付けました。ここに示されたステップそれぞれについて、それを進める上でのルールとテクニックが開発されていることを承知しておいてください。このプロセスの各ステップの説明の中でコッラーはそれらの完全性ということに触れています。完全性とはそのステップの進め方に関するガイダンスの完璧さの程度あるいはアルゴリズムとしての厳密性の程度を示すものです。図5に各ステップの完全性として記入されている数値は1970年代末の状態を意味します。
物理アルゴリズム設計法の基本的な目的は提起された問題に関して、具体的な条件のもとで最善の解決策を選択するために、できるだけ多数の案を得ることです。このため、分析対象の製品の実際の設計を完全に抽象化し、その製品が果たすことになる機能に注意を集中します。コッラーは全ての製品を次の3つのグループに分類します:
検討を行うプロセスは複数のステップに分けられています。
課題の設定には:
が含まれます。
課題の設定から具体的な解決策へと進む道取りの第一歩は開発対象となっているシステムの全体としての機能を定式化することです。ここでいう定式化とは与えられた目的に対応し、前提となっている制約を考慮に入れて、インプット値とアウトプット値の特徴と状態を決めることを指します。システムのインプットとアウトプットの特性値とは達成すべき目的としての機能のことです。システム全体の「原因−結果」の関係(機能)のイメージが得られたら、それを複数の下位機能の様々な組み合わせに変化させ、そこで初めて、個々の下位機能を実現する方法をさがし始めることになります。
コッラーの方法の重要な特徴となっているのは、ここまでで得られた下位機能の構造を更に個々の要素機能(技術システムの機能分析において、それ以上分解不可能な要素的な機能)に分解する点です。個々の要素機能は、そこで行われる作用とその際に変化させる値によって特徴づけられます。要素機能を特徴付けるインプットとアウトプットの特性値を取り除くと、その要素機能の純粋な操作(pure operation、数学でいう算法)あるいは、コッラーの定義では基本操作 (basic operation) が残ることになります。こうすることで、あらゆる技術システムがもつ多様な機能全てを12種類の基本操作からなる体系に置き換えることが可能になります。なお、全ての基本操作には「順」と「逆」の2つの容態があります(図6参照)。
コッラーは基本的な物理操作に加えてよく知られた代数(加算、減算、乗算、除算、累乗、冪根、積分、微分)、論理学(and=論理和、or=論理積、not=否定)の操作も使います。
一般的には、1つの求められる機能を実現するために考えられる要素機能の組み合わせは数個あります。
要素機能の構造の検討が済むと個々の基本操作を実現する物理効果とそのキャリヤーを選択する設計フェーズの作業を行います。これらの選択はコッラーが開発した物理効果・現象探索ガイドを使って行います。この探索ガイドは基本操作それぞれに対応する物理効果を体系的に関連付けたものです。この専用データベースは個々の要素機能を実現する方法を検討する際の優れた補助ツールといえます。
このように、コッラーが提唱した作業手順は(ルールをまもり)方法に従って問題設定から原理的な解決策へと移行することを可能にしてくれます。結果として、設計作業の個々のステップをコンピュータの助けを借りて自動化する議論が現実性を帯びることになります。
1974年にソ連の研究者(G.S.アルトシューラ、I.B.フリクシュテイン、A.G.シャフマートフ)によって技術的問題を構造のレベルで解決する方法が提唱されました[35]。この方法では、方法としての構造の拠り所として「物質場」という概念が使われています。物質場とは一般化された要素(物質)と関係つまり要素間の相互作用からなる技術システムの最小モデルを意味します。能力を持った最小の技術システムには3つの要素(2つの物質と1つのエネルギー場、あるいは、1つの物質と2つのエネルギー場)が含まれていなくてはならないとされます。
物質場分析の原理は、課題の条件によって与えられた技術システムを「物質場」の形で捉えて、その物質場を完全な形に作り直す、あるいは、規定のルールに従って変形させることです。
現在、物質場分析の考え方を更に発展させて技術システムの進化過程にみられる法則性を解明する研究が行われています。
ソ連の航空技術者R.L.バルチーニは1930年代に現在ソ連で広く用いられている手順に従った思考法の論理的先行者となる方法を開発しました。この方法の基礎となっているのは開発中の技術システムと矛盾の弁証論的解決についての機能モデルの理念です[36]。
バルチーニは実際の設計で使う素材や力(エネルギー)についての制約が無いとしたときに何が求められているのかというところから考え始めるように推奨しました。バルチーニによれば制約を取り払うということはどんなニーズにも応えられる特性を持った素材があり、求められる箇所でどんな種類のエネルギーをどんな量でも使えると想定せよということです。
何かを開発しようとしている人の課題はそこで作るシステム{モノ}の目的は何なのか、そのシステムの機能(役割)は何なのかを理解することです。バルチーニは最高の飛行機は飛行中に格納庫の中にあって、それでも飛行機としての機能ははたされている、そういった飛行機だとしています。目的と求められる機能がはっきりしたら、次に当初の状態でその機能の実現を妨げているものは何なのかを明らかにしなくてはなりません。バルチーニはこれについて以下のように書いています:
「課題を解決する際には相互に強く結びついた一連の事実をできるだけ簡潔な形で把握し、副次的な要因を取り払って、検討している問題で主な役割をはたしている諸要因は何なのかを明らかにしなくてはなりません。それが済んだら課題の解決を妨げている『あれか、それとも、これか』というジレンマの中でも最も際立った対立関係を取り出します。課題の解決策は対立を『ああでもあるし、こうでもある』という等式関係に捉え直しその論理的脈絡の形でさがすのでなくてはなりません。」[36, p.113]
バルチーニが提唱したアプローチは現在ARIZ(技術難問解決アルゴリズム)、新技術開発のための一般解決手順、新技術開発複合法など、我が国の一連の方法として現実のものになっています。
この方法は大勢の研究者が絶え間なく改良研究を続けているため{現在の}ARIZの中には上記と異なる新しいステップや情報集さらに一段と強力になった方法が出現しています。しかし、ARIZの最も大切な構成要素は従来と変わらず「理想的な機械」およびそれに基づく「理想的な最終結果」(IFR) 並びに矛盾(技術的矛盾および物理的矛盾)の理念です。 ARIZの最新バージョンは使い方のルールを備えた数十のオペレータから成り立っています[35]。
その主なステップは以下の通りです。
この方法の一部として次の情報集が開発されています。
ARIZはこれから作ろうとするモノのプロトタイプが既に有って、そのプロトタイプの欠陥を明らかにすることができる問題と取り組むための方法です。
これは1976年にA.I.ポロビンキンをリーダーとする研究者のグループが開発した方法で、手持ちの情報を加工して解決策にたどり着きやすくする目的を持った手順に従う一連の指示からなっています[37]。ポロビンキンたちは当初はこの方法をコンピュータソフトウェア化が可能な完璧なアルゴリズムをもった方法の基盤と考えていました。そうしたソフトウェアは今日まで実現していません。「新技術開発のための一般解決手順」のフローチャートは次の7ステップからなっています。
各ステップには多数 (6–16) のより具体的な手順が含まれています。これ等の手順は原則として助言の形になっています。(例:「ステップ4.6.探している未知の技術的手段を現在使われている既知の技術あるいはかつて使われ今は使われなくなった技術に置き換えてみてください
」)この方法にはこうした手順の他に情報集が含まれています。
B.I.ゴルドフスキーとY.N.シェロムコのリーダーシップの下1978年にゴーリキー市で「新技術開発複合法」が作られました[38]。この方法は設計プロセスの全サイクルの管理体制を整備しようとするプロジェクトの成果として得られたものです。方法の概略プロセスを表したフローチャートを図7に示します。
この全体構想にのっとって当時知られていた各種の思考支援オペレータをまとめて含む方法が作られました。この方法の特徴は主な思考支援オペレータが基づいている理論的条件を徹底的に消化吸収していること、システムの構想をまとめそれをさらに改良する作業を特徴付ける2つの流れをもっていること、および物理的矛盾から具体的な技術方策へと移行してゆく手順です。
システムアプローチもこの方法の枠内で新しい発展を見ました。例えば、技術方策の探索については次の考え方が前提とされています。
この方法はイギリスのエドワード・マチェットによって開発されたものです。マチェットは1960年からブリストル(マチェット校)で自らこの方法を教え始めました。この方法は設計技術者に自分の考え方を理解し自分をコントロールして、自分の取り組んでいるプロジェクトの状況の全ての側面により正確に対応した考え方をするように教えることを基本的な目的としています[39, 40]。これを行うために次の手法が用いられます:
ファンダメンタル・デザイン・メソッドは基本的な力点を設計技術者個人の経験、直感、思考能力に置き、不明確な点を減らすために科学的な研究やテストを行うことは想定していません。しかし他方で、この方法では広範に情報検索を使用します。
この方法には次の段階があります:
この方法では合理的思考法の要素(チェックリスト、アイデア探しや思考の図式化など)も重視しています。エドワード・マチェットは自分が行っている問題解決のプロセスを第3者として眺められることが極めて重要だとしています。これによってアイデア探索の戦略をタイムリーに修正することが可能になります。この方法を教える教育上の基本原則は学習者がすでに身につけている方法から始め、結果として信頼を置くまでに至らないおそれがあり、難しいと感じた途端に拒否する可能性のある全く新しい方法を押し付けることを避けることです。
ファンダメンタル・デザイン・メソッドは、種々の理由から、開発者の指導がなければ完全に習得することはできませんが、個々の部分は様々なレベルの技術システムの開発や設計に携わっている技術者にとって興味深いものと言えます。
この方法は1970年代にV.V.チャフチャニーゼの指導の下ジョージアで開発されたもので、様々なタイプの創造的課題(技術開発、科学研究、組織上の問題など)の解決を目的とした課題タイプ別に使用順序に並べたオペレータセット集と言えます[41]。
この方法はチームワークで使うことを想定してリーダー、専門家、一般メンバーなどメンバーごとの役割が定められています。この方法を用いた作業手順は厳格に定められているため方法開発者はこの方法は「人間機械」のシステムで使うことができるとまで言っています。
この方法は内容が複雑なうえ実際のプロジェクトに対応した仕上げがほとんど行われていないため現在に至るまで広く活用されることにはなっていません。
この方法はP.コッホとI.ミューラーをリーダーとする大人数のグループによって東ドイツで開発されたものです。内容は技術開発の各段階の作業を軽減してくれるヒューリスティック・プログラムの体系的集成です[42]。
ここでいうヒューリスティック・プログラムとは開発技術者のための指針集の形になっている指示事項のリストを指すもので、これに従うことを通じて技術者は必要な情報を合理的に入手しそれを適切に消化することになります。このプログラムは企画及び設計の際に使うことが想定されています。
ヒューリスティック・プログラムの体系は階層的に構成されています。体系全体はピラミッド状になっていて頂点には先導プログラムがあり、次に概略ワーキング・プログラムがあり、更にプログラム・プールがあります。プログラム・ライブラリーはいわばカセット方式になっていて特定のタイプの課題に対してそれに対応するプログラムを{プログラム・プールの中から取り出して}カセットの指定位置にはめ込む形で個別のプロジェクトに対処する個別プログラムの体系を作るようになっています(表参照)。
A | 課題設定 | B | シンボル、シンボル体系 | C | 法則性の表現 | D | モデル | E | モデル案 (一般的な課題) | F | 思考過程 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A1 | 課題の特定 | B1 | 名称の形成 | C1 | 形成 | D1 | 形成 (作成) | E1 | 特定 | F1 | 推論 |
A2 | 課題の正確化 | B2 | 検証 | C2 | 検証 | D2 | 解釈 | E2 | 方策採用の影響評価 | F2 | 加工 |
B3 | 正確化 | C3 | 正確化 | D3 | 変更 | E3 | 調整 (調和) | F3 | 発見 | ||
B4 | 層別 | D4 | 検証 |
実際の作業でどのプログラムを使うかの選択は専用のアルゴリズムに従って行います。
体系的ヒューリスティック法は相当に複雑ですが問題のあり方に沿った方法の中でも最も進化したもの、言い換えれば具体的な課題ごとによく対応しているものの1つとして大いに興味深いものと言えます。
各種プログラムの改良作業は現在{1988年}も続いています。ワーキング・プログラム、サブ・プログラムの数が増え、そこに盛り込まれた指示の内容も改良されています。幾つかのプログラム、例えば概略プログラムA1の内容は実践的な関心を惹きつけます。具体的には次のようになっています。
次にワーキング・プログラムの一例を紹介します。
確認後の課題のデータ
(モデル化の必要性の判定)
A.V.クドゥリャフツェフは1983年に問題に対応した技術開発アイデア発見法を提唱しました[43]。様々なアイデア発見法が使用されている様子を分析した結果、個々の問題の具体的な状況に直面してその状況に最も適したアイデア発見法を選択しようとする問題解決のやり方は、一連の理由から現代のアプローチとしては最善とは言えないことが明らかになりました。理由の中で重要なのは様々な方法を広く検討するのに大きな労力を要すること、作業が退屈なこと、ある方法から次の方法へと移行することに困難を伴うこと、心理的状況や技能の違いから問題に取り組んでいるメンバー全てを同じように集中させるのが難しいことです。
これらの理由からアイデア発見作業の運営法に新しい原則を導入する必要が生まれました。クドゥリャフツェフの方法の特色はアイデア発見の手順を具体的問題や問題解決に取り組む具体的な人々の特性に基づいて新たに作るという点です。
クドゥリャフツェフが提唱する方法では、問題解決プロセスの性格を次の2つの「変数」によって特徴づけます:
したがって問題解決プロセスは、一般的にいえば、対象も異なり当座の作業目標も異なる様々なタイプの多数のステップからなります。このため、各ステップで最適な作業を行うためには、問題解決作業もそのステップに最適に合致した小さな要素に分割しなければなりません。
この方法によって合理的なオペレータの体系をつくり、また、それを使って様々な作業手順をまとめるためのルールを開発することが可能になりました。オペレータの体系は既存の種々の新技術開発アイデア探索法に範を得たオペレータと特に開発したオペレータとから成り立っています。個々のオペレータをどこで用いるかは具体的な検討作業において何を対象として作業を行っているのか、また作業の目的は何なのかという2つの特性によって一義的に決まります。このため、アイデア探索作業に用いる全てのオペレータを1つの表にすることができます。
この表の縦横の欄は次のようになっています:
検討作業のタイプの区分基準は研究における弁証法の原理体系(反射、能動性、全面性、演繹と帰納の一致、決定論、質的特徴と量的特徴の相関性、歴史主義、弁証論的否定、抽象から具体への上昇、論理と歴史の一致、分析と総合の一致)に基づいて行いました。オペレータの体系化も同様に行いましたが、この体系は方法的機能のみでなく方法論的機能も持っています。つまり、この体系によって将来の新しいオペレータを特徴づけることができるため、今後登場するオペレータを予測することができます。
この概論で検討した技術開発のためのアイデア発想の各方法はこの目的で使われている数多くの手段の多様性の全てをカバーしているわけではありません。現在こうした方法の数は数百という数に上り更に増え続けています。それぞれの方法が異なるタイプの問題を想定し、様々な創造経験をもった技術者、それも技術的創造活動の性格として時には対極的でさえある異質な状況に置かれた技術者によって開発されています。といっても、ここで検討されてきた方法が価値を持っていることは明らかであり、これらは新技術開発という創造活動のなかで方法を求める際に広範な選択肢を提供してくれています。
訳注:カッコをつけずに日本語で表記されているものは日本語訳が出版されている著作です。また、リンク付きの著作は日本語訳はないものの英文の原著が現在も入手可能です。( )をつけたものは日本語訳などが見当たらない著作の書誌の日本語訳、{ }内は訳者による補足です。
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